会計事務所や税理士事務所という場所は、公認会計士の先生や税理士先生がいて、その下に、
・税理士試験の勉強をしながら仕事をしている従業員
・税理士試験はあきらめて仕事をしている人
・入力作業や補助業務で働いているパートさん
がいます。
ここでは、未経験の方が会計事務所に入って分からない!!という方向けに、実際その仕事に携わって7年目の私が紹介します。
既に税理士試験の科目合格をされていらっしゃる方には、優しすぎる内容かと思いますが。
とりあえず、会計事務所に就職した場合、どんなことから始めたらいいのかについて書いていきます。
最初は何が何だか、みんなが話していることさえ分かりません。
とりあえず言われたことをして、1つ1つ覚えていくしかありません。
とても深い業界なので、高度な判断を要するものは税理士先生に任せて、ともかく基礎を広く浅く勉強することが大切です。
ざっくり会計事務所の仕事について書いてある、おすすめ書籍は会計事務所の仕事がわかる本/税理士須田邦裕著、です。
これで1年間の大まかな流れが分かります。
まずは仕訳入力。
最初は仕訳入力から始めることと思います。
そして会社の月次入力。
毎月の月次などの仕訳は、簿記3級にプラス2級の知識が必要となります。
なので、2級を持っていない方は、2級の勉強も必要です。
2級は、商業簿記の仕訳を理解するだけで大丈夫です。
あとは、入力してある過去の仕訳を検索することです。
経理の仕事は、毎月、毎年、同じことの繰り返しです。
なので、過去の仕訳などを見れば、だいたい予想がつくのです。
検索しても分からなければ、先輩に聞きましょう。
消費税について。
また、消費税の基本的な勉強もしましょう。
手っ取り早いのは、TACの書籍、消費税実務入門で勉強することです。
仕訳入力には、消費税課税事業者の場合には、消費税もそれぞれの仕訳入力に区分けしていきます。
だいたいは自動で引っ張ってくるのですが、基本的なことは分かっていないとまずいです。
基本的なこととは、勘定科目やその取引によって、消費税が課税、非課税、不課税とあることです。
消費税の仕入れと売上の概念について、理解しておきましょう。
源泉所得税について。
源泉所得税の納付書を書くこと、または源泉所得税の申告をしてダイレクト納付の設定をすること、などは会計事務所のよくある仕事の1つです。
法人や事業主が、毎月従業員に支払った給与から源泉徴収した所得税を、国にまとめて納める手続きです。
この納付書の書き方をマスターして、間違えないように作成しましょう。
数字を間違えたり、月を間違えたりすると、支払った金額と月次入力の数字が合わなくなり、また多く支払いすぎて国から還付してもらう場合には、手続きがとても面倒なので、細心の注意をして作成をしましょう。
お給料の基本的なこと。
お給料のプロフェッショナルは社労士事務所ですが、会計事務所でも給与計算をすることもあります。
会計事務所のお客さんは、個人事業主から従業員100人を超える企業までさまざまで、社会保険に入っているかいないかなど、その企業によっても違います。
給料計算と社会保険の基本的なことも勉強しましょう。
おすすめ本はこの2冊です。
2020年版 まるわかり給与計算の手続きと基本 (まるわかりシリーズ)
基本と実務がよくわかる 小さな会社の給与計算と社会保険20-21年版
事務所に置いておいて、いつでも確認できるようにしておくのがおすすめです。
季節の申告業務
毎年12月-1月にする年末調整、給与支払報告書、支払調書、などは一連の流れです。
資料と突き合わせて、正確に処理していくことが求められます。
2-3月の確定申告。
個人の確定申告は、それぞれ難易度が違います。
奥が深いので、ともかく毎年地道に勉強していくほかありません。
6-7月。算定基礎届と労働保険申告。
これも社労士さんの範囲なので、やっていない事務所もあるかもしれません。
算定基礎届は、4-6月の給与で9月分からの社会保険料を算定する届出です。
労働保険申告とは、労災保険料と雇用保険料を計算して申告する業務です。
慣れてきたら、税法の勉強も少しずつしよう
一連の流れに慣れてきたら、少しずつ税法の勉強もかじっていくことをおすすめします。
税理士を目指すのであれば、税理士試験科目である簿記論、財務諸表論を先に勉強するのが一般的です。
しかし仕事をする上で、簿記2級レベルであれば、消費税と法人税をざっくりやることをおすすめします。
昔は、税法を勉強しようとすると、1教科あたり1年間で20-30万円のコースを受講するほかありませんでした。
でも今は、書籍と簡単なオンラインのセットや、オンラインで受講できるスタディイングなどもあります。
税理士試験合格を目指すのではなく、実務レベルでざっくり理解することが目的であれば、なるべく安くオンラインで受講することをおすすめします。
最後に。
税理士さんは、怒ると怖い先生がたくさんいます。
偏屈だったり、変わっていたりする先生も多いです。
それは、税理士という職業が、責任を持って申告する為、桁の大きい申告で間違えると訴訟問題にもなりかねない、ストレスのある職業だからです。
顧問先も、中小企業や個人事業主など、やりがいのある仕事であると同時に個性あるお客様で一筋縄では行かないことも多々あります。
それでも、この仕事に携わる人たちは、会社の経理とは違い、数字を全体的に見られることに魅力を持ってやられている方が多いです。
パートで始めてたくさん勉強すると、会計事務所での正社員は難しくても、小さな会社の経理職には転職しやすくなります。
会計事務所は最初の数年がとても大変ですが、毎月毎年繰り返しだからだんだんに慣れる!と思うと、長く続けられます。
お読みいただき、ありがとうございました。